カートに商品を入れたにもかかわらず、購入完了に至らない――。そんな「かご落ち」は、多くのECサイトが抱える深刻な課題です。しかし、かご落ちの影響を正しく理解している担当者は意外と少ないのが現実です。まずは、かご落ちとは何か、そして放置した場合にどんなリスクがあるのかを整理していきましょう。

かご落ちとは「購入直前での離脱」を指す
かご落ちとは、ユーザーが商品をカートに入れたにもかかわらず、購入手続きに進まずサイトを離脱してしまう現象を指します。カート投入まで到達しているため、購買意欲が高い見込み客だったにもかかわらず、最終的な購入アクションに至らなかったということです。一般的に、ECサイトにおけるカゴ落ち率は70%以上とも言われており、非常に大きな機会損失を生み出しています。
放置すると売上の大幅な機会損失につながる
かご落ちは単なる「1回の未購入」ではありません。放置すればするほど、せっかくかけた広告費や集客努力が水の泡になり、売上目標の未達にも直結します。さらに、カートに商品を入れた時点では高かった購買意欲も、時間が経つほど冷めやすくなり、リカバリーが困難になります。特に中小企業のECサイトでは、一件ごとの売上が重要なため、かご落ちの放置は経営に大きなダメージを与えるリスクがあります。
カゴ落ちは「すぐに手を打てば」改善できる問題
かご落ちは確かに大きな問題ですが、裏を返せば「対策を打てば売上アップに直結するチャンス」でもあります。例えば、リマインドメールの送付や、購入フローの簡素化といった基本的な対策だけでも、一定の改善効果が見込めます。つまり、正しく現状を認識し、すぐに行動に移すことで、売上の底上げが可能なのです。この記事では、このあとすぐに実践できる対策方法も具体的に紹介していきます。

なぜかご落ちは発生する?主な原因3選
「かご落ち対策をしたい」と思っていても、そもそもなぜユーザーがカートから離脱してしまうのか、その理由を正確に把握していないと、的外れな対策になりかねません。ここでは、特に影響度が高いと言われる主要な3つの原因を、事例を交えながら整理していきます。
購入手続きが複雑・面倒である
かご落ち最大の原因の一つが「購入手続きの煩雑さ」です。住所入力、会員登録、パスワード設定など、購入完了までのステップが多いと、ユーザーは手間を感じて離脱します。特にスマホ利用が主流の現在、入力作業が多いサイトは敬遠されやすい傾向にあります。シンプルでスムーズな購入導線を設計することが、かご落ち率の低減には不可欠です。
最終金額(送料・手数料含む)が不明瞭
「カートに入れたときと、最終支払金額が違った」という体験は、ユーザーに強い不信感を与えます。送料や手数料が購入フローの後半で突然追加されると、心理的ハードルが一気に上がり、離脱の原因になります。ユーザーが最初から総額を把握できる設計にすることが、購入完了率を高めるポイントです。
支払い方法・配送方法の選択肢が少ない
決済手段が限られていたり、希望する配送方法が選べなかったりすると、購入の意欲があっても断念されるケースがあります。特に近年では、クレジットカード以外にスマホ決済や後払いニーズが高まっています。ターゲットユーザー層に合った多様な決済・配送オプションを用意することが、離脱防止に直結します。

【即実践】売上アップに直結する「かご落ち対策」厳選5選
ここからは、すぐに実践できて売上アップに直結しやすい「かご落ち対策」を厳選して紹介します。どれも大がかりなシステム改修なしで対応できるものばかり。早期に売上改善を目指したいEC担当者の方は、ぜひ今日から取り組んでみてください。
1. リマインドメールを自動送信する
カートに商品を入れたものの購入に至らなかったユーザーに対して、リマインドメールを送る施策です。リマインドメールは「忘れていた」「検討中だった」ユーザーを思い出させ、再訪を促す効果があります。特に、カート放棄後24時間以内に送信すると復帰率が高いことが知られています。ツールの導入も簡単なものが多く、即効性の高い施策です。
2. 購入手続きのステップ数を減らす
カートから決済完了までの手順をできる限りシンプルにすることが重要です。例えば、「ゲスト購入(会員登録なしで購入)」を許可するだけでも離脱率は大きく下がります。また、入力項目を減らし、オートフィル(自動入力補助)に対応するなど、ユーザーの負担を最小化する工夫も効果的です。購入までのハードルを下げることで、カゴ落ちを防ぎます。
3. 総額を事前に明示する
送料・手数料を含めた最終的な支払金額を、できる限り早い段階でユーザーに提示しましょう。カート投入後や購入確認画面で追加費用が発生すると、ユーザーは裏切られた気持ちになり、離脱してしまいます。商品ページの段階から「送料込み価格」や「追加料金なし」と明記することで、安心感を与え、購入率を高めることができます。
4. 決済・配送オプションを増やす
多様な支払い方法や配送方法を用意することで、ユーザーの利便性が向上し、かご落ちリスクを減らせます。たとえば、クレジットカードだけでなく、PayPay・楽天ペイ・Amazon Payなどのスマホ決済や後払いサービスを導入するのも有効です。配送面では、宅配便だけでなくコンビニ受取や置き配対応を検討するのも一つの方法です。
5. ページ表示速度を改善する
意外と見落とされがちですが、ページの読み込みが遅いと、ユーザーは待ちきれずに離脱してしまいます。特に購入フロー中に時間がかかると、せっかく購入意欲の高いユーザーを逃すことになりかねません。画像データの圧縮や、サーバー環境の見直しなどを行い、ページの表示速度を最適化することも、かご落ち対策の重要なポイントです。

まず何から着手すべきか?優先順位を解説
「対策がたくさんあるのは分かったけれど、結局どれからやればいいの?」と悩む方も多いでしょう。限られたリソースの中で効率よくかご落ち対策を進めるには、成果が出やすい施策から順番に着手することが重要です。ここでは、実行優先度の高い順に、具体的な取り組み方を解説します。
最優先:リマインドメールの導入・自動化
まず最優先で着手すべきは「リマインドメール」の設定です。比較的簡単に導入でき、即効性も高いため、かご落ち対策として最も費用対効果に優れています。特に、カート放棄後24時間以内に自動送信する設定をするだけでも、売上に直結する可能性が高まります。今すぐ導入を検討しましょう。
次に取り組むべき:購入手続きの簡素化
次に着手すべきは「購入フローの改善」です。ステップ数を減らし、ゲスト購入を許可するだけでも離脱率は大きく下がります。これは社内で完結できるケースが多く、大規模なシステム改修を必要としないため、短期間で対応が可能です。リマインドメールと並行して進めるのもおすすめです。
中長期的に検討すべき:決済・配送オプションの拡充とサイト速度改善
決済手段の追加やサイトスピードの最適化は、やや工数がかかるため中長期的な取り組みになります。ただし、これらもユーザー体験を大きく左右する要素なので、後回しにしすぎないよう注意が必要です。スケジュールを立てて順次対応していくことで、着実にかご落ち率を下げていきましょう。

【成功事例紹介】実際にかご落ち対策で売上が伸びた企業例
「本当にかご落ち対策で売上が変わるのか?」と疑問に感じている方もいるかもしれません。理論だけではなかなか行動に移しづらいものです。そこで今回は、実際にかご落ち対策に取り組み、売上アップを実現した企業事例をご紹介します。具体的な成功ストーリーを知ることで、自社でもすぐに取り組むイメージを持っていただけるでしょう。
リマインドメール導入で売上20%アップ(アパレルECサイト)
ある中堅アパレルブランドでは、カート放棄後3時間以内にリマインドメールを自動送信する仕組みを導入。メールには「あなたのカートに商品が残っています」というリマインドと、期間限定の割引クーポンを添付しました。結果、メール経由での再購入率が大幅に向上し、全体売上も約20%増加しました。タイミングの早さと、インセンティブ提供が成功の鍵でした。
購入フロー簡素化でコンバージョン率1.5倍(美容系ECサイト)
美容アイテムを扱うECサイトでは、従来の「会員登録必須」の購入手続きを見直し、ゲスト購入を可能にしました。また、住所入力をGoogle自動補完に対応させ、入力ストレスを削減。その結果、購入完了率が従来比で約1.5倍に改善。購入ハードルを下げることが、想像以上に大きな効果を生むことが証明されました。
総額明示と決済手段追加で離脱率20%改善(食品系ECサイト)
食品ギフトを販売するECサイトでは、「送料・手数料を商品ページに明示」「PayPay決済を追加」したところ、カゴ落ち率が大幅に改善。特に、スマホユーザーからの購入率が飛躍的に伸びました。金額の透明性と利便性向上が、安心感と購入意欲を高める要素だったと分析されています。

よくある質問
1.かご落ちはどの業種でも発生しますか?
はい、かご落ちはほぼすべての業種・商材で発生します。特に高額商品や比較検討が必要な商品ではかご落ち率が高くなりがちです。逆に日用品やリピート購入されやすい商品でも、手続きの煩雑さなどで離脱は起こります。どの業種でも「対策する価値がある」と考えてください。
2.リマインドメールはしつこいと思われませんか?
適切なタイミングと内容に配慮すれば、しつこいと感じられることはほとんどありません。特にカート放棄から24時間以内に1通送るだけでも効果が出ます。割引クーポンをつけるよりも、まずは「商品がカートに残っています」と自然に伝える形がおすすめです。
3.かご落ち率の目安はどれくらい?
一般的にECサイト全体の平均では、かご落ち率は約70%と言われています。もし自社サイトでこの数値を大きく上回る場合は、購入導線に大きな問題がある可能性が高いです。逆に、50%台に抑えられれば非常に優秀な状態と言えるでしょう。
4.スマホとPCではかご落ち率に差がありますか?
はい、スマホ経由の方がかご落ち率は高い傾向にあります。理由は、画面が小さく、入力や操作が煩雑に感じやすいからです。そのため、モバイル最適化(モバイルファースト設計)がますます重要になっています。スマホ特化の購入フロー設計を強く推奨します。
5.送料無料にするだけでもかご落ちは減りますか?
送料無料にするだけでも一定の効果は期待できます。特に少額決済では送料が心理的なハードルになるため、送料無料キャンペーンや「〇〇円以上で送料無料」設定が有効です。ただし、その分利益率を圧迫しないよう価格設計にも工夫が必要です。
6.ゲスト購入と会員登録、どちらを優先すべき?
初回購入時は「ゲスト購入」を優先できる仕組みにするのが望ましいです。会員登録は購入完了後に促す方法(購入後登録)でも十分です。まずはスムーズに購入させ、リピート施策はその後に考えるという順番が、かご落ち防止には効果的です。
7.リマインドメール以外に「追いかける」手法はありますか?
はい、広告でリターゲティングを行う手法も効果的です。カートに入れた商品をディスプレイ広告やSNS広告で再表示し、再訪問を促します。ただし、リターゲティング広告にはコストがかかるため、予算に合わせてリマインドメールと併用するのが現実的です。
8.ページ表示速度改善は具体的に何から始める?
まずは画像の最適化(ファイルサイズ縮小)から取り組むのが基本です。次に、不要なプラグインを削除し、サーバー応答速度を改善する施策を検討しましょう。Googleが無料提供している「PageSpeed Insights」で現状分析するのもおすすめです。
9.かご落ち対策ツールは無料で使えるものもありますか?
はい、あります。例えばShopifyでは標準機能でカート放棄メールが利用でき、他のカートシステムでも無料または低コストで導入できるプラグインが存在します。ただし、送信条件の細かい設定やABテスト機能などは有料版でしか使えない場合が多いです。
10.かご落ち対策をしても効果がすぐ出ない場合は?
効果がすぐ出ない場合は、まず「本当に施策が正しく設定できているか」を確認しましょう。リマインドメールのタイミングや件名の工夫、購入フロー内の導線チェックなど、改善の余地は必ずあります。焦らずPDCAを回し続けることが成功への近道です。

まとめ
■ かご落ちは売上に直結する重大課題である
カートに商品を入れた後の離脱(かご落ち)は、全体の約70%にのぼる大きな損失ポイントです。放置すれば、広告費や集客努力が無駄になるだけでなく、売上目標達成も遠のきます。逆に対策を講じれば、比較的短期間で売上アップが狙える「最も効率的な改善対象」であることを理解しましょう。
■ 主な原因は「手間」「コスト不安」「利便性不足」
かご落ちを引き起こす主な要因は、購入手続きの煩雑さ、最終支払額の不透明さ、支払い・配送オプションの不足です。これらはユーザー体験を阻害し、購買意欲を冷却させる大きな要素です。原因を明確に把握することで、的確な対策が打てるようになります。
■ 今すぐ実行すべきはリマインドメールと購入フロー改善
まず取り組むべきは、リマインドメールの自動送信設定と、購入手続きの簡素化です。この2つは比較的短期間で実施でき、費用対効果も高い施策です。特にリマインドメールはカート放棄から24時間以内に送るだけで復帰率が向上するため、即実行をおすすめします。
■ 決済・配送の多様化とサイト速度改善は中長期課題
より高い効果を目指すなら、決済手段・配送方法の充実やページ表示速度の最適化にも取り組みましょう。これらは中長期的な施策ですが、ユーザー満足度とリピート率向上に直結します。すぐにすべてを完璧にする必要はありませんが、計画的な改善が重要です。
■ 小さな改善でも確実に売上アップにつながる
かご落ち対策は、一つ一つの改善が確実に売上向上に貢献します。劇的な変化を期待するのではなく、着実な小さな成功を積み重ねる意識が大切です。今日できる一歩を着実に踏み出し、ECサイト全体の収益構造を強化していきましょう。
いかがでしたでしょうか。かご落ち対策は、一つの行動が売上に大きく直結する重要なテーマです。他の課題についても今後ブログで解説していきたいと思います。
ただいま初回無料相談を受け付け中です。
※相談内容は秘密厳守いたします。
【→ 無料相談はこちら】